コロナの流行で私たちの健康のために換気が重要だということを改めて認識しました。換気は私たちの健康のためだけでなく、家にとっても重要なことです。
家の寿命を延ばすための重要な要素のひとつが「換気」です。適切な換気がなぜ必要なのか、「換気をしないとどうなるか?」について詳しく解説します。
大手ハウスメーカーのカスタマーサービス部門で、家を長持ちさせることに毎日向き合っている私だから知っている、家を長持ちさせるために重要な家の換気について解説します。
- 家の換気が重要な理由
- 家の寿命を延ばすカギ
- 適切な家の換気方法
「換気をしないとどうなるか?」なぜ、換気が必要か?
答えは、家の寿命を縮める大きな原因のひとつが「湿気」だからです。
換気によって「湿気」をコントロールすることが、家を長持ちさせるのに必要だからです。では、「湿度」が高いとどのような影響があるのでしょうか?

1. 建材の劣化が進む
湿気がこもると、家の構造にかかわる木材に被害を与え、朽化やにつながるため、地震や台風などの災害時の危険性を高めてしまう可能性もあります。 特に木造住宅では、湿気が原因で柱や床材を腐食させる危険があります。
2. カビやダニが発生し、健康被害の原因に
湿気の多い環境は、カビやダニの温床になります。 カビの細胞を吸い込むと、アレルギーや喘息を考える可能性があり、小さなお子さんがいるご家庭では特に注意が必要です。
お部屋の中からはなんでもないように見えていても、実は、かべの間や屋根うらなど、目に見えないところで結露(けつろ)が起きて、カビが発生することもあります。
3. シロアリの被害
木材の大敵であるシロアリは湿気の多いところを好みます。
湿気の多い建物はシロアリが発生する確率が高くなり、 湿った木材はシロアリのエサとなり、家の構造に深刻な被害を与えます。

4.結露の発生
湿度が高いと結露が発生する可能性が高くなります。結露は空気中に含み切れなくなった水分が水滴となって出てきたもの。湿度以上に人や建物に悪影響を与える可能性が高くなります。


気温と結露の関係をわかりやすく解説
寒いときにせっかく暖まった部屋を換気して冷たい空気を入れるのは嫌だし、暑い時にはせっかく冷房で冷えたお部屋を換気するのはもったいない。と思いませんか?
高温多湿な日本の夏は湿度が高く、寒い冬は湿度が低く乾燥します。
言い換えれば、夏の空気はたくさんの水分を含んでいて、冬の空気は水分の量が少ないということ。
それなら、家が湿気を嫌っても、冬は乾燥しているから、換気は必要ないのでは?と思いませんか?


むかし習った 飽和水蒸気量
飽和水蒸気量?中学生の頃の理科で習ったやつです。
空気中に含まれる水蒸気量は、温度が高いほど多くなり、温度が低いほど少なくなります。飽和水蒸気量とは、ある温度において空気中に含むことのできる最大の水蒸気量のことです。
つまり、気温の高い夏の空気中にはたくさんの水分を含むことができ、気温が低い冬の空気中には多くの水分を含むことができないという仕組みです。
「飽和水蒸気量」を超えると余分な水蒸気が水に変わります。
これが結露の発生する仕組みで、冬の窓ガラスの水滴や乾いたグラスに冷えたビールを注いだ瞬間に水滴が付着するのもおなじ現象です。
つまり、冬は空気の中の湿気は減っていても、温度が低いから空気中にたくさんの水分を含むことができず、あふれた水分が水となって結露になります。
換気をしないと、湿気の多い空気が滞留してますます結露を発生させる原因になります。


家の中は暖かいし湿度も低いのに、どうして結露ができるの?
わが家は電気代もけちらずに、部屋の中は暖房で暖かくして温度が高いから、空気はたくさの湿気の水が含むことができるから大丈夫!という家でも、窓ガラスや壁が冷えていると、その近くの空気も冷やされます。
冷えた空気がたまっている窓や壁のそばの空気は冷えていて、空気中に水をたくさん含むことができないので、溢れた水が水滴になってしまいます。これが「結露」です。
例:湿気をたくさん含むことができる夏の気温なのに、冷たいジュースのコップに水滴がつくのも同じ原理!


湿気と結露と換気の関係
室内で発生する湿気(=水蒸気)は、目に見えませんが、空気の中に溶け込んでいます。
料理をすると湯気が出る→ 湿気が増える
お風呂お風呂に入ると鏡が曇る→湿る
人がいるだけで呼吸から水分が出る→湿気がでる
私が家の中で生活していると湿気はどんどん増えていきます。


換気と湿気は深い関係があります。
換気をしないと湿気がこもり、結露やカビの原因になります。
では、換気がなぜ湿気対策になるのか、わかりやすく説明します。
同じ家の中でも結露しずらい場所と結露する場所があるのはなぜ?
結露が発生しやすいのは水分の多い部屋!
半分正解だけど、正解は温度が低いところに起こりやすい。
例えば、北側にある温度が低いお部屋の壁や、玄関、冷えた外の空気と温度が近いまどガラスにも起こりやすい。
水分は、それぞれの部屋の温度に関係なく、家の中のすべてで、同じ量になろうとする性質がある。
たとえば、キッチンで料理をしたときに発生した水分は、ドアを開けたときに、ほかの場所にも流れていってしまう。
換気対策には換気が一番
結露を防ぐには、水分の多い空気を部屋の外に追い出すこと、つまり換気して空気の入れ替えをすることが一番です。換気をすると、湿気を含んだ空気が外へ出て、新しい乾いた空気と入れ替わります。
家を守るための基本テクニック
家の湿気をコントロールするために、適切な換気が欠かせません。以下の方法を実践することで、効果的に空気を入れ替えることができます。
自然換気のコツ
「換気=窓範囲」とよく考えますが、開けるだけでは効果は半減します。ポイントは「空気の通り道を作ること」です。
- 対角線上の窓を開ける→ 空気がスムーズに流れる
- 1日2~3回、5~10分の換気を行う→ 効率よく湿気を排出
- 天気の良い日は室内のドアを開けておく→ 家全体の空気を入れ替える
換気扇を有効活用!部屋ごとに正しい使い方をする
換気扇は空気の流れを作るのに有効ですが、使い方を間違えると十分な効果が得られません。
- キッチンの換気扇は調理中に必ずON → 湿気や油煙を少し排出
- 浴室の換気扇は入浴後30分以上回す→カビの発生を防ぐ
- トイレの換気扇は24時間運転し続けるが理想→湿気と臭いを気にする
24時間換気システムを上手に活用する
最近の住宅には、24時間換気システムが設置されていることが多いですが、「電気代がもったいない」と思ってやめてしまう方もいます。
- 24時間稼働させることで、家全体の空気を循環させます
- 冬の結露にも効果がもる
- フィルターの定期清掃を忘れずに!汚れが溜まると換気能力が低下する



部屋別に解説!最適な換気方法で家を健康に考える
家のどの場所に湿気がたまりやすいのかを考え、それぞれに適した換気を行うことが大切です。
リビングの換気:家の中心だからこそ空気の流れを意識
- 朝と夜に5〜10分、対角線上の窓越し
- サーキュレーターや扇風機を活用し、空気の流れを作る
キッチンの換気:料理中の湿気とニオイをしっかり排出
- 調理中は換気扇を回し、火を消した後も5〜10分は継続
- 窓を少し開けて、新鮮な空気を取り込む
浴室と洗面所の換気:カビ対策がカギ
- 入浴後すぐに換気扇を回し、30分〜1時間はつけておく
- 浴室のドアを開けず、湿気を他の部屋に広げない
- 水滴を拭き取ることで湿気を減らし、カビの発生を防ぐ
寝室の換気:快適な睡眠環境をつくる
- 寝る前と起床後に窓を開け、空気を入れ替える
- エアコン使用時も、1日1回は換気を行う
まとめ 換気は家を守るために必須!
「換気をしないとどうなるか?」について解説しました。
多すぎる湿気や結露は私たちにも家にも悪影響を及ぼす可能性があいます。
日々のちょっとした換気の工夫がとても大切です。
湿気を考慮する
換気扇を上手に活用する
24時間換気システムを正しく使う
この3つを意識するだけで、家の寿命を大幅に延ばすことができます。
換気を習慣にして、健康で快適な住まいを守りましょう!